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監査の自動化に向けて

監査人がパソコンとデータを利用して手続を実施する監査技法であるCAATs(*1)は、すでに監査実務の中に浸透しており、主に監査におけるデータ処理やデータ分析で活用されています。そして今、次のステップとして、「監査の自動化」に注目が集まっています。

 

ここで、「監査の自動化」とは、監査手続の実施を自動化すること、と定義します。

 

一口に自動化といっても、それぞれのIT(ツール)により、その得意分野には違いがあります。そこで、「監査の自動化」のためのIT(ツール)に焦点をあてて、監査現場における様々なデータを処理・分析する手続において、どの領域を自動化できるのかを考えてみました。

 

監査において様々なデータを処理・分析する手続は、おおよそ下記のようなフローで実施されているのではないでしょうか。

何から始める監査の自動化①.jpg

そして、その多くの作業は、Excel等の表計算ソフトで実施されていることがほとんどです。

 

それでは、今注目されている「監査の自動化」について、どの領域を自動化できるのかを見ていきましょう。監査を自動化するためのツールといえば、どのようなIT(ツール)が思い浮かぶでしょうか?

 

CAATsツール?IoT?RPA?はたまたAI?

 

これらはすべて「監査の自動化」に役立つツールですが、監査現場におけるその得意分野は下記のようになると考えられます。

何から始める監査の自動化②.jpg

そして、これらのツールを上図のフローに当てはめてみると、

何から始める監査の自動化③.jpg

なんと、すべての作業が自動化できてしまうような、そんな錯覚に陥りました。

が、やはり現在の技術は日進月歩(秒針分歩!?)とはいえ、すべてを自動化することは、導入コストや条件設定などのチューニング、など、まだまだコスト面・技術面でのハードルが高いと思われます。

 

ただし、この中でもコスト面・技術面で導入しやすいツールとしてはCAATsツールがあげられ、まさに、「監査の自動化」への第1ステップであると考えます。なぜならば、CAATsツールは監査に特化したデータ分析ツールとしての歴史も長く洗練されているため、他のIT(ツール)ほどコスト面のハードルは高くなく、かつ、技術面においても高度なプログラミング知識がなくても簡単に処理の自動化ができるツールだからです。

 

もちろん、EXCELの「マクロ」機能によって処理の自動化は可能ですが、VBAといったプログラミング言語の知識が必要であり、CAATsツールよりも「監査の自動化」に対するハードルが高いと言わざるをえません。

 

そのため、まずはCAATsツールを活用して、「監査の自動化」の第一歩を踏み出すことをお勧めします。

 

監査手続の一部自動化によって空いた時間を分析結果の検討に充てることで、より深度のある監査手続の実現を進めてみてはいかがでしょうか。

 

*1) CAATs (Computer Assisted Audit Techniques, コンピュータ利用監査技法)とは、監査人がコンピュータとデータ(IT)を利用して監査手続を実施する技法をいいます。故に、CAATsを利用して監査を行うということは、ITを活用して監査を行うことと同義になります。

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